前回、前々回に引き続き、作家・架神恭介さんへのインタビューの模様をお送りします。
前回までは、架神さんの商業媒体では初となる小説『戦闘破壊学園ダンゲロス』の、様々な画期的な点についてお話を窺いました。今回からは架神さんが近年取り組まれているテーマ、「宗教」についてお聞きしていきます。架神さんは宗教の堅苦しいイメージをブチ壊すような痛快な「宗教本」を出されています。その中には「あの」ベストセラー小説をパロった「仏教入門書」もあります。
■勉強してみて分かった、仏教の哲学的な面白さ
―それでは、『もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら』についてお聞きしたいのですが、架神さんは宗教関係では以前、『完全教祖マニュアル』いう新書も出されています。さらにさかのぼると「パンク」「ヒップホップ」「君主論」「少女漫画」など、毎回全く違ったテーマについて本を書かれてきた訳ですが、それには一体どういう経緯を辿ってこられたのでしょうか。
もともと「少女漫画」までは、自分の書きたい物を書いてきたんですよ。「ヒップホップ」は「パンク」が売れたので、「ヒップホップについて書いてくれ」って依頼が来て、よくわかんないけど書いたんです。あれはあれで凄く良い作品なんで是非読んで欲しいんですけど。それから先は依頼された内容を書いてきました。だから宗教系をずっとやってるのは、みんなが宗教系を依頼してきたからです(笑)。
―日記ブログを拝見すると、ここ数年は本当に、宗教の原典に当たって毎日凄く勉強されていますね。
そこまで原典には当たってないです。原典の次くらいですね。学問的な視点ではもうちょっとシリアスにやるべきなんでしょうけど、僕も人間ですのでキツイんですよ(笑)、そのあたりが限界ですね。
―架神さんがそれまで持っていた宗教に対するイメージって、勉強されて本を書かれた後だと、どのくらい変わりましたか?
仏教に関しては、思っていた以上にはるかに面白かったです。すごく理知的で哲学的で。
―人が生きていくうえで生じる悩みを解決するための、哲学と言うか…
その点では、哲学と言うか、むしろ本当に実践的なんですよ、仏教って。たとえるならば、金属バットで思いっきり頭をブン殴れば、頭がパーになって悩みも吹っ飛ぶよみたいな。そんなノリなんです。以前はもっとわけのわからない、曖昧なものをイメージしてたんですけど。
■キリスト教、イスラム教の意外な側面
―キリスト教に関しては。
キリスト教は今勉強してる最中なんですけど、勉強してイメージ変わったのは、それまではすごくキリスト教神学が哲学的にガッチリやってるから、かなり知的なイメージがあったんですよ。でも聖書に当たると、「ホント訳のわかんない話だなー」と。仏教とは逆のパターンですね(笑)。
キリスト教以降は、ギリシャ哲学の思考法で聖書を見ていくじゃないですか。だから結構哲学的になるんですけど。でもそれ以前は、今の僕のイメージでは原始的な民族宗教の度合いが強くて。だからよくこれをああしたもんだな、っていう感はありますね。
―昔の神学者は聖書を不磨の大典として、些細な解釈の違いで争っていたイメージがあります。
今の神学者はそういった解釈をうだうだやっているというよりも、むしろ「この教えをどう使えるか」という方向性らしいです。
―イスラム教はその点どうですか?
イスラム教は勉強が足りないので、あまり発言する資格はないんですが、コーランをパラ見した感じでは、非常に懐の広い宗教と言う印象です。コーランは意外とおおらかなことを書いているんですけど、何で実際はああした感じになっちゃうんですかね(笑)。(続く)
※画像:Amazon
(インタビュー=小山内)
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架神恭介
作家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『完全教祖マニュアル』『完全HIPHOPマニュアル』『少女マンガに学ぶ恋愛学』など多数。
The 男爵ディーノ(本人のサイト)
『戦闘破壊学園ダンゲロス』
『もしもリアルパンクロッカーが仏門に入ったら』
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